タイの棚は、なぜはっきり言う?
パッケージに、何を、どのように書くべきか?
食品の仕事をしていると尽きない悩みですし、海外展開となるとその悩みは倍増しますよね。
日本では、シズル感と余白で、はっきり言わずに行間で伝えることが多いです。読み手の察しを信じるやり方です。
タイは、人と人とのコミュニケーションにおいては、日本と同じ察する文化圏です。ところが、訪問するたびに思うのですが、面白いことに、製品訴求表現がまるで違うんです。以下のプロテインRTDの売場をご覧ください。
中段の赤い帯に、「プロテインを1日50グラム以上」と書かれています。タイの栄養表示の基準値です。国の物差しが、店頭の言葉になっているわけです。製品ラインナップも日本以上に充実していて、パッケージの情報も事細かです。たとえば・・・
- Moove:高プロテイン
- Maximus:加水分解ホエイ
- Tofusan:植物性タンパク
- Sunshine:高たんぱく×ラクトースフリー
- Rokeby:プロテインスムージー
競っているのは、「誰向けか」です。
当然、規制や表示義務の影響もあります。しかし文化の側面から見ると、理由は宛先にあります。多民族が暮らし、観光も食の輸出も、日本よりずっと早かった。誰が棚の前に立つか決めつけられないから、価値は誰にでも読める形で売られているんです。
一方、同じ東南アジアのベトナムではどうでしょうか。プロテインRTDはタイほど豊富ではなく、グラム数も主役ではありません。棚一面を埋めているのは牛乳です。そして至るところに「thật(本物)」「100%」の文字。
ベトナムの「本物」の裏には、疑いがあります。過去の食品事件を経て、「本当か?」から買い物が始まる市場になったと言えます。だからパッケージが、証明で喋るんですね。
つまり、タイもベトナムも棚は言い切るのですが、言い切らせているものが違います。タイは宛先が、ベトナムは疑いが言わせている。
理由が違えば、打ち手も変わってくるのは当然。表面的なトレンドは、時代とともにどんどんと入れ替わります。重要なのは、それを言わせている一段下の、変化の土台の理解なのです。
では、中国本土と香港の売場には、どんな文化が影響しているのでしょうか。仮説はありますが、棚の前に立って体感しないと分からないことがあります。9月、広州、深圳、香港を歩いてきます。