抹茶ラテという乗り物
ホーチミンのコンビニで、緑のカップ麺を見つけました。Miliketの「Matcha Latte」。ベトナムのインスタント麺ブランドが、抹茶ラテ味のラーメンを出しているではないか!
食べました。
抹茶の味は、まったくしませんでした。若干のクリーミーさは、あったと言えばあった気がしますが……要するに、普通の塩ラーメンでした。
裏の成分表を読むと、抹茶は、ほとんど入っていません。緑は着色料で、粉ミルクがラテっぽさをだし、抹茶は名前を貸しているだけ。これ単に緑色ラーメンやん。
この商品が定番化するとは正直思わないけど……でも翌日、地元コーヒー店で抹茶ラテを頼んだら、甘くてミルキーな、緑の何かが出てきました。カップ麺は、その延長線上にあるんでしょうね。
ここ数年、いろんな国で抹茶の広がり方を見てきました。海外の抹茶市場を牽引しているのは抹茶そのものではなく抹茶ラテで、ネスレもスターバックスも、海外ではラテで勝負しています。ベトナムでも、火をつけたのはカフェのラテです。
抹茶は、抹茶として広がっていない。抹茶ラテという乗り物で広がっています。
乗り物が動き出せば、中身は日本の抹茶でなくてもいいんです。着色料と粉ミルクでも、他国産の粉でも、乗り物がそれらしく見せてくれる。日本人としては納得のいかない現実ですが。
日本の素材が世界に広がるとき、日本人の考える姿のまま広がるわけではありません。そこにはなんらかの「乗り物」、ビジネスの言葉で言えばプラットフォームがあって、その上で広がっていくことが多いのです。
思えば、これは初めての話ではありません。豆腐は長らく「健康的だけど味気ないもの」と扱われていましたが、代替タンパクというプラットフォームを得た途端、欧米の棚で主役級になりました。日本にない硬さの豆腐や、豆腐ソーセージまで生まれています。照り焼きも、海外では甘いソースという別の乗り物になりました。抹茶ラテは、その繰り返しの一つです。
もしあなたの会社の製品が海外で売られているなら、一度確認してみてください。製品のまま売られているのか。それとも、日本人が想像するのとは異なる乗り物の上での戦いになっているのか。
後者なら、選択肢は二つ。その乗り物に乗るか。乗り物そのものを作りに行くか。乗るのは軽い。作るのは重いけれど、独占できる。大事なのは、この構造を理解した上で、どちらの勝負をするかを自分で決めることです。
ホーチミンにて、抹茶ラテのラーメン、いや、緑のラーメンをすすりながら。